以前、こんな調査結果を目にしたことがあります。ある建築学者が精神科医と共同で登校拒否児童の家庭を調査した報告によると、「家族のだんらんの場所はどこか」という問いに対し、両親はダイニングと答え、児童からは「応接間」という返事が返ってきたそうです。このことはいったい、何を物語っているのでしょう。「だんらん」という言葉は共通していても、それぞれの空間で行なわれていることから違う意味を感じ取っているのだとしたら、子供にとっての「だんらん」と親にとっての「だんらん」には、大きなズレが生じつつあるのではないでしょうか。
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本来、「だんらん」という言葉には、「(1)月などのまるいこと。まどか。(2)集まって車座にすわること。まどい。(3)集まってなごやかに楽しむこと。親密で楽しい会合」(『広辞苑』岩波書店)などといった意味が込められています。先の児童がどのようなイメージで「だんらん」について答えたかは定かではありませんが、少なくともこの児童は、本来の意味にある「まるい」「集まって」「なごやかに」「楽しむ」という印象を、家庭の食卓からは感じなかったのかもしれません。