地方には、昔ながらの瓦の技術を芸術にまで高め、生き残っている人もいる。Tさんの瓦工場を見せていただいた帰りに、芸術的な手焼きの瓦をつくっているという瓦職人のYさんのお宅を訪ねた。Yさんは、名工と言われた父親の技術を受け継ぎ、手作りで世界に一つしかない美術的価値の高い瓦を焼いては、神社仏閣などに納めている。お訪ねした時も、お寺に納める1メートル四方ほどの巨大な鬼瓦を制作しているところだった。鬼瓦は、神社の屋根などで睨みを効かす、厄よけの必需品でもある。
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Yさんは、鬼瓦だけでなく、瓦の灯籠など、インテリアとなるようなさまざまな小物も制作して販売している。ひとつひとつ粘土の型をつくり、この型に瓦の材料を入れて焼き上げるため、型が工場いっぱいに積み上げられていた。ただ、こうした付加価値の高い芸術的に評価を得られる瓦づくりは、誰もができるというものではない。Yさんのところも、オートメーション化されたTさんの工場と同様に、多くの瓦屋の中から生き残った1軒だ。